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理事長ごあいさつ

 東海マススクリーニング推進協会は先天代謝異常症を中心とする遺伝性疾病の診断と治療に関する調査、研究に関する事業を行うとともに、我が国の遺伝性疾病および先天代謝異常症への認知度向上と患者の生き生きとした生活に貢献することを目的として、平成30年7月に故深尾敏幸岐阜大学小児病態学前教授と折居建治先生により設立されました。

 我が国における新生児マススクリーニング事業は1977年に開始され、多くの子どもたちを障がいから救ってきました。また2014年からはタンデムマスによる新生児マススクリーニングが開始となり、20疾患が一次対象疾患としてスクリーニングされています。一方で、難病に対する治療開発は急速な勢いで進歩しており、いくつかの難病では予後が確実に改善され、疾患克服に繋がることも期待されています。ただそのためにはできるだけ早期に診断して適切な治療を行うことが不可欠で、発症前の新生児期におけるマススクリーニングも重要な選択肢になります。さらに大量の検体を診断するためのスクリーニング技術も開発され、海外や国内の一部の地域では早期診断により予後改善が期待されるいくつかの疾患に対して、実際に新生児スクリーニングが開始されています。
 岐阜県においても本協会や岐阜県公衆衛生検査センターを中心に早期診断により予後改善の可能性のある稀少疾患を対象に、新生児マススクリーニング導入に向けて検討を進めて参りました。さらに2020年10月のロタウイルスワクチン定期接種の開始により、全国で原発性免疫不全症を中心に新生児スクリーニングにおける対象疾患追加の議論が広まりつつあります。

 このような状況下で、本協会では2021年4月より岐阜県内の産婦人科、新生児医療機関に岐阜大学小児科並びに県内中核病院小児科のご協力と岐阜大学医学研究等倫理審査委員会の承認を得て、保護者の同意のもとに対象疾患を追加した有償のスクリーニング事業を開始しました。
 治療が存在し早期診断により予後の改善が期待される原発性免疫不全症、ポンペ病、ファブリー病、ムコ多糖症I型、ムコ多糖症II型、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症の7つの難病を対象に、追加検査の説明を受けて保護者が同意された新生児に対して、従来の公的マススクリーニング検査に追加して検査を行っています。スクリーニングで陽性と判定され、疾患が疑われたお子さんに対してはあくまで疑いですので、岐阜大学小児科を受診して頂き、迅速かつ正確な精密診断を行った上で、患者と診断された際には適切な治療・支援・フォローアップ体制を提供しています。
 幸い県内医療機関の先生や保護者の方のご理解を得て、順調に稼働しています。今後、1人でも多くの難病患者の予後改善につなげるとともに、本事業の成果と課題を検証して、将来の公的スクリーニングへの可能性も検討して参りたいと存じます。
引き続き、皆様のご支援ご指導をよろしくお願い致します。


2021年7月吉日

東海マススクリーニング推進協会 理事長  下澤 伸行
(岐阜大学 科学研究基盤センターゲノム研究分野 教授)
( 同   附属病院小児科/ゲノム疾患・遺伝子診療センター)

一般社団法人 東海マススクリーニング推進協会