近年の医療の進歩とともに難病に対する新たな治療法が開発され、いくつかの難病では予後が確実に改善され、疾患克服に繋がることが期待されています。
ただそのためにはできるだけ早期に診断して適切な治療を行うことが不可欠で、従来から行われている新生児マススクリーニング検査にこれらの疾患を追加して発症前に診断し、適切な治療に繋げる流れが国内外で広がってきています。
さらに大量の検体を診断するためのスクリーニング検査技術も開発され、これらの疾患に対して従来の公費による新生児マススクリーニングに対象疾患を追加して検査を行う「新生児マススクリーニング追加検査」が国内の一部の地域では既に始まっています。
このような状況に加えて2020年10月から生後6週以降の児を対象にロタウイルス生ワクチン定期接種が開始されました。ロタウイルス生ワクチン接種の普及は子どもたちの健全な育成に必要な取組みですが、今回の追加検査の対象疾患の1つである原発性免疫不全症のお子さんの中には、生ワクチンにより重篤な副作用が生じる可能性があります。従ってより安全に予防接種を普及させるためにも生後早期の診断が重要になります。
岐阜県では原発性免疫不全症に早期診断が適切な治療、予後改善に繋がる4つのライソゾーム病(ファブリ病、ポンペ病、ムコ多糖症Ⅰ型・Ⅱ型)、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症の7つの疾患を対象に2021年4月1日以降に出生した新生児を対象に追加検査を提供しています。
さらに岐阜大学病院小児科にはこれら7つの疾患で専門の医師が揃っていて、正確な診断のための精密検査から適切な治療、フォローアップが可能な状況にあります。
東海マススクリーニング推進協会が主導し、保護者への説明、同意取得、ろ紙血採取は医療機関(産婦人科または新生児科)、スクリーニング検査は岐阜県公衆衛生検査センターで行います。
スクリーニング検査結果で陽性はあくまで疑いですので、全ての陽性者は岐阜大学病院小児科を受診して正確な診断のための精密検査を行い、診断された場合は適切な治療を行います。さらに県内各地域の中核病院小児科と連携した診療体制を整えています。
一方で、この追加検査は現時点では公的支援は得られていないため、保護者の方の理解と同意を得て、有償で行うとともに、将来、公費により全ての新生児に検査を行うためには追加検査の実績や課題を検証して報告する必要もあるため、研究として倫理委員会の承認を得て取り組んでいます。
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